From Nowhere To Somewhere ?

ビートルズの曲名から名を採った無定見、無我、無帰属の男が、どこかに辿りつけるのかという疑問文(題名、字面通り)

久々に更新を思い立ちました

でも、僕が好きな観念論哲学についての誤解を解くための、書籍からの引用に過ぎないんですけど。

「一般教養」と称して、観念論の内実について、誤謬が広まっていくと、実は大変なことになる。現状でもそうなのに、実学ばっかり教えるようになったら誤解が加速する。

ちなみに、時事に関連付けると(?)、大学の自治を無視した、実学系のみ偏重の大学改革もとい改悪は、9条を改変しない形での違憲です。なんつって。

大学から教養の要素を取り上げてしまったら、大学の存在意義が本当に無くなってしまうと思いますよ。実学だけだったら、各種の専門学校生らに勝てないのは自明なんだから。「実学しかない」という目先の利益を追う人たちに、大局から理念を与えられるからこそ、エリート面できていたんですから、(少なくとも昔の帝大生などごく少数の)大学生は。また、それが学歴社会の根拠・拠り所でしょ(今は大学生が飽和して、空洞化しているけど)。

 先に引用元書籍を明示。↓

よみがえれ、哲学 (NHKブックス)

よみがえれ、哲学 (NHKブックス)

 

 以下、引用。強調部分は、僕が勝手に強調しました。

 

   いまもう一度近代哲学の「観念論」のモチーフを見直してみましょう。そもそも近代哲学の仮想敵となっていたのはキリスト教の神学ですね。当時、教権と王権の政治権力が結びついていましたから、スコラ哲学が圧倒的な強い力をもっていて、新しい思想に対してきわめて弾圧的だった。近代哲学はキリスト教の世界観を全部点検して新しい考え方を立てなくてはならなかった。観念論の方法の本質は、ひとことで言えば、神が存在するとか、王に聖なる権利が与えられているとか、そういう任意の物語的前提をすべて捨てて、誰もが納得できるような人間と社会との基本関係をつくり上げようとする方法だったということです。なぜ観念論から始めるかと言うと、たとえば当時は、唯心論と唯物論、理神論と無神論、道徳先験主義と心情主義、政治的には王統派と共和派という具合に、いろんな考えがせめぎ合っていた。もちろんまだ宗教対立もある。それぞれが自分の「正しさ」を主張し合っていて、その対立を克服できない状態が続いていた。そこで、近代哲学は、各人がなぜそういう多様な世界信念をもつのかその理由を検証することから始めようとした。人間の世界確信というのは観念のなかでつくり上げられるわけですから、観念のなかで信念が構成される一般理論を考える、これが観念論の方法の根本だったのです。

 ですから、近代哲学の「観念論」の方法の本質は、いわゆる主観主義とか神学的な体系を擁護するためのもの、といった点にはありません。八割は誤解です。世界観について、信念の対立が必然的なものとなってきたため、この信念の対立を克服する原理は、どんな人間も納得できるような道をとって、共通理解をつくり出していくという仕方以外にはない。そのためには「観念論」という方法しかない。これはいまでもまったく妥当な考えですね。

 

 

鑑賞メーター 9月利用分

2014年9月の鑑賞メーター
観たビデオの数:2本
観た鑑賞時間:232分

アメイジング・スパイダーマン2TM [DVD]
見終えた後に、エアロスミスの『Amazing』を聴きたくなる…とは限らないが、トビー・マグワイアの三部作とは異なる意味でアメイジングではある。随所で笑える。ただ、ハリーとの友情と破綻ってのは前三部作のほうが丁寧だった気がするな。今作でハリーはいきなり現れていきなり狂う。また、グウェンを救えないってのが衝撃的で、この点も前三部作とは大きな違い。ところで、少し逸れるが、原作原理主義ってのも行き過ぎると、再現度の争いになって、映画が窒息してしまう。サードではどういう展開が待っているのか、今から楽しみに待つ。
鑑賞日:09月28日 監督:マーク・ウェブ
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/3363279

 

 

 

■LUCY ルーシ
ネタバレ注意。誰も正解を持たない科学的かつ宗教的・哲学的問いにリュック・ベッソンが回答(ただ、デッサン。未完成で粗い)。比較論で言うと『アビス』というやや古い映画で地球外生命体の叡智を無知な人類がどう扱うか自省的に扱っていた。今作でヒロインは地球上ながら、脳の未知の扉を開け、地球外生命体状態に(誰でもありえた)。冒頭、粗いって書いた理由は100%脳を開放したのに収束点が「次世代型コンピュータ」とか規模がこまくなる辺りや、知識と時の制御とか、話が拡散してしまう点。脳の開放という古くて新しい枠組みは好きだが。
鑑賞日:09月02日 監督:リュック・ベッソン
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/3314181

 

 


鑑賞メーター
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憲法記念日によせて

 同じお題につき、二年前くらいに、改憲の必要性を指摘した駄文を書き連ねた記憶があります。

 集団的自衛権が注目を集めているので、近時の世相に沿うようにちと調整的な駄文を書き足そうと思いました。まあ、そういう議論を許容する記念日だから、目につく表現が散見されてもご容赦を。

 僕はたしか、過去に書いた文章で、明文化されたシビリアン・コントロールなら許容できると述べました。公正な選挙によって選出された政治家が、成熟した議論を経て、官僚と良好な関係を築きつつ、かつての「軍部の暴走」的な事態を制御するという在り方を模索するならば、改憲はいいんではないかということを述べたのです。これはわりと、改憲派(加憲とか創憲とか色々ありましたが…)の人達の一部にも首肯していただけるんじゃないかと。

 でも、今現在進行中の解釈改憲の仕方を深化させようというやり方は、過去にも指摘されたように、換骨奪胎の悪化ではないかという懸念を拭えません。

 文字通り、「解釈改憲」は、憲法を、解釈することによって、条文の形はそのままに、その規制をすり抜けてしまおうという手法です。

 先だって改憲手続を改正しようとして安倍政権は叩かれましたが、「明文の改憲が時間も労力もかかるのなら不文律でも良い、解釈を工夫して形骸化してしまえ、条文の制度趣旨を殺してしまえ」というわけでしょう。

 保守陣営の人達に一言物申したいことがあります。吉田茂の業績を論じた本やドラマ等が世に問われてきましたね。

 自主憲法と主権的独立を自民党は党是にしてこられたそうですね。僕の生まれるずっと前から。そのことには敬意を評しつつ、疑問を呈します。

 吉田茂マッカーサーと悶着を起こしながらも経済立国を優先したのは、戦後、警察予備隊自衛隊)維持費を除く軍事コストをアメリカに丸ごと投げておいて(ビジネスを超越して国家の趨勢を決めてしまうのでかなり大局的ですが、これもいわゆる「選択と集中」でしょうか)、「まずは経済復興を果たしてしまおう」という「敢えてする」軍事放棄だった、主権国家としての誇りの(留保付き)放棄だったというロジックにはたしかに同調できる面もあるのです。(党内外で、世代交代により、「敢えて」は忘却されて、ベタになっているという指摘もありますが…。)

 しかしですね、「改憲をするのにも、ご本尊アメリカ様のご意向が慮られるべき」というのは主権国家のマインドでしょうか?明文化できないなら換骨奪胎してしまえというのもいかがなものでしょうか。

 宗主国(同盟国と敢えて呼びません)の要請に忠実すぎるのは、立派に属国だと思います。その果てには、上記の党是だったはずの、自主憲法と主権的独立のいずれも遠のくのではないでしょうか?

 こういう状態での、「解釈のみによる(もちろん、下位規範としての自衛隊法等関連法令はさらに長文化し精密化するのでしょうが)改憲」は、「成熟した議論を経た」とは到底、言えないのでは。

鑑賞メーター 3月分まとめ

2014年3月の鑑賞メーター

観たビデオの数:11本

観た鑑賞時間:1430分

 

■ザ・マスター [DVD]

過去、『タクシードライバー』でも、娼婦をマフィアから救うために、心を病んだ元海兵隊が射撃の腕を用いるという「自分探し」の面があった。主人公は、エセ科学を用いつつも大真面目に自分を救済しようとするカルトのグルと親友になってしまう。多くの信者と違い同化はできないが、人として接しあう。彼の性的倒錯や諸症状はフロイトユングをきちんと学んだ人には読み解けるのか。ともかく、人生と向き合えず、戦争のトラウマで人生が真っ暗だったのに、怪しげな団体と交流しながらも染まらずに自分の人生を再スタート、ある種の奇跡みたいな話。

鑑賞日:03月22日 監督:ポール・トーマス・アンダーソン

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/3002653

 

ザ・マスター [Blu-ray]

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ヘルタースケルター スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

美容整形はどの程度まで消費者保護されるか。原作が描かれた当時に比し、全身整形で致死性を帯びる例はいかほどか。現に作品中で、検察が追うほど悪質な医者が主人公を整形したから知りたくなった。免疫抑制剤やら向精神薬を処方されるのか、過剰接種後に、主人公の過剰な美意識が、「美はシャブみたいなものだ」という毒あるメッセージと相まり暴走。男から見ると最早恐怖映像。ただ、ラストは「?」。死後写真集復刊は彼女が伝説になったからで落とし所としてわかる。ライバルが見たのは…一体?実は生きてました、では今度は落とし所がない気が。

鑑賞日:03月21日 監督:蜷川実花

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/3000017

 

ヘルタースケルター スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

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■フィッシュストーリー [DVD]

劇中の台詞にもあるが、法螺話や眉唾物に対応する慣用句が調べるとちゃんとあり(ただし、形容詞化を要するが)、fishy storyとなっていた。再度敢えて訳すると魚臭い、日本語でこなれた表現ならクサイ≒出来過ぎた怪しい話ということか。それを踏まえた上で、パンク・バンドが誤訳を元にした歌詞を歌うのだが、誤訳のほうが素晴らしい(笑)。「僕の孤独が魚だったら 巨大さと獰猛さで 鯨さえも逃げ出す きっとそうだ きっとそうだ」。1953年の誤訳が、2012年にアルマゲドン(モドキ)のキーになる。素晴らしい突き抜け方。

鑑賞日:03月20日 監督:中村義洋

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2999396

 

フィッシュストーリー [DVD]

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探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点 通常版 [DVD]

若干ネタバレ。小ネタとシリアスさが交互に訪れテンポの良さは絶品。飽きさせない。随所で楽しいので辛口にしたくはないが、展開については前作ほど大どんでん返し感はなかったかもしれない。日常に潜む矮小な差別的エゴが、今回の犯人の動機で、当初のオカマ殺しの件は、えらくシンプルであった。脱原発のキーパーソンとバイオリニストのいずれともがオカマが深い縁で結ばれていたという「真の事情」をよそに、様々な組織が探偵を口封じしようとする上滑り観が残念。あ、でもその世間の虚しさ(と対をなす街の優しさも?)こそがハードボイルドか。

鑑賞日:03月20日 監督:橋本 一

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2997707

 

 

天地明察 [DVD]

安井算哲、のちの渋川春海は数字にまつわる学問のマルチタレントだったようだ。その才能が、多くの知識人と交わり、算術と天測の架橋ができる地位を与えられ、しかも腐ることなく開花する。この開花の確率自体、天下泰平の江戸期では奇跡的。算術使いが設問に正答を出せた時に、出題者から「ご明察」と称賛を受けるが、天地の理について精密予測する天地の明察を巡り、既得権益(暦を牛耳ったお公家さん)から師匠を殺されたり酷い目に遭っても諦めない(折れそうにはなるけど)。嫁さんと同年同日に亡くなったというのが、約束と相まり胸を打つ話。

鑑賞日:03月19日 監督:滝田洋二郎

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2995930

 

天地明察 [DVD]

天地明察 [DVD]

 

 

ジャックと天空の巨人 [DVD]

ジャックと豆の木』の粗筋をあらかた忘れてしまったが、巨人が降りてくる設定は無かったと思う。複数の豆が、災いのもとにもなり、救いのもとにもなるのが良い。ところでギリシャ神話では、ゼウスの父がクロノグラフの語源となった時の神クロノスで、なぜか種族が違い巨神族だったそうだ。代替わりの戦争でクロノスは負け、「地下に」封印されたそうな。なぜ巨人王国が「宙に浮いてる」のか説明はなくちと残念。ラスト間際は、城塞での立て篭もり死守なので、流行りの『進撃の巨人』好きはご覧になってはいかがか。(設定しか知らないんだけど。)

鑑賞日:03月18日 監督:ブライアン・シンガー

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2993523

 

ジャックと天空の巨人 [DVD]

ジャックと天空の巨人 [DVD]

 

 

真夏の方程式 DVDスタンダード・エディション

オリジナルキャラ設定を除けば、かなり忠実に原作小説を実写化。原作小説で恭平くんが間接正犯の道具になってる点は気の毒だと思ったが、そこまで泣けるものでもなかった。だが、実際に子役が演じるといいね。これから先、自らの答えを探していく過程で、湯川が並走してくれるというあの駅の待合室のシーンは、実の父親より頼りになり泣かす。本筋の、ホステス殺しをした娘を庇うために、事件隠蔽をすべく敢えて(ということは故意犯だけどね)業務上過失致死を「装う」継父、という構図も泣けたが。身代わりの実父も。一番悪いのはホステス。以上。

鑑賞日:03月17日 監督:西谷弘

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2991670

 

 

エンド・オブ・ホワイトハウス [DVD]

オバマケアなどリアルな政策問題と牽強付会するが、日本ほどでないにせよ、アメリカも厚い福祉を要す少子高齢化社会を突き進んでいる。すると、安全保障の担い手も減ることに。国の老いの果てに、パクス・アメリカーナ終焉が近いのでは?という社会不安が、このような脚本として結実したのかも。9.11以後、領空侵犯にピリピリしているはずのアメリカが、出だしのように簡単に空を割らせるか、起点から微妙ではあるが、仮に、軍が到着するまでの空白の15分間を13分間で制圧できたなら、「あってはいけないシナリオ」の警告集かもしれない。

鑑賞日:03月16日 監督:アントワーン・フークア

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2990894

 

エンド・オブ・ホワイトハウス [DVD]

エンド・オブ・ホワイトハウス [DVD]

 

 

るろうに剣心 通常版 [DVD]

個人的意見で恐縮だが。男性陣は割りと原作イメージにフィット。しかし神谷薫や高荷恵は…「旬の女優さん」かもしれないが、原作に沿うか否かは議論の余地ありではないか(苦笑)。ただ、総じて言えば、漫画とは別の魅力に満ちた映画だ、と褒めたくなる出来栄え。幕開けが戊辰戦争の殺し合いから始まる点とか。主役が単なるイケメンではなく、(仮面ライダー電王でしたか?)アクションができるイケメンであり、褒め過ぎかもしれないが『ボーン・アイデンティティー』を初めて観たときの衝撃に似た「殺陣」の連続で(活人剣の話だけど)ある点とか。

鑑賞日:03月16日 監督:大友啓史

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2988827

 

るろうに剣心 通常版 [DVD]
 

 

■マン・オブ・スティール ブルーレイ&DVD(初回限定生産)

スパイダーマンバットマンのリブートに倣って、70年代の作風よりは随分シリアスに作り直してある印象だ。クリプトン星の運命も、自分たちの星が属する系の太陽フレアに巻き込まれ死滅ではなく、天然資源採掘の無理が祟って星のバランスが崩れ、内戦と相まって自滅、など設定も微妙に異なる。前ヒーロー二者と共通なのは、良き導き手に出会っていることか。だが比較的に、主人公の内面的葛藤の描き方は少なく、気づけば問題を突破してしまう感じ。脱線するけど鋼の男というと、アイアンマンを連想してしまうが、厳密な語感はどう違うのだろうか?

鑑賞日:03月15日 監督:ザック・スナイダー

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2986539

 

マン・オブ・スティール ブルーレイ&DVD(初回限定生産)

マン・オブ・スティール ブルーレイ&DVD(初回限定生産)

 

 

■スーパーマン ディレクターズカット版 [DVD]

リブート作『マン・オブ・スティール』と併せて借りた。幼い頃の記憶を上書き更新すべく先に鑑賞。金曜ロードショー日曜洋画劇場等、昔懐かしの(往時の有り難みが、レンタル店の普及で減殺されているという意味で懐かしの)テレビ映画番組での断想的記憶だけだったので、今回、改めて鑑賞でき良かった。撮影技術の制約がある中で、未知の惑星を構築した創造力がすごい。あと、ギャラリー機能で驚いたが、原作自体は、戦前から存在したという。今度でリメイク何度目なのか。若干、名優ジーン・ハックマン起用なのに、敵がとぼけすぎなのが残念。

鑑賞日:03月14日 監督:リチャード・ドナー

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スーパーマン ディレクターズカット版 [DVD]

スーパーマン ディレクターズカット版 [DVD]

 

 

 

鑑賞メーター

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鑑賞メーター 2013年利用分

2013年の鑑賞メーター

観たビデオの数:89本

観た鑑賞時間:10847分

 

ゼロ・ダーク・サーティ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

若干ネタバレ。同監督の『ハート・ロッカー』は、爆弾処理没入が麻薬化した男の話。平凡な幸福が耐えられない危険中毒。なるほど心に鍵。今作は、CIA女性分析官が、高卒でリクルートされ、米国をビンラディン殺害まで導く過程。最後「アメリカにとっての正義」が成された後、貸し切りの飛行機の中で彼女は行き先を訊かれ、答えに詰まる。静かに泣く。半分は報われたこと、半分は目標の喪失によるのでは。ビンラディン殺害だけが目標の彼女は、この後燃え尽き症候群?すごく重いラスト。米国はテロとの戦いに勝ったのか、一寸先は闇じゃないかと。

読了日:11月22日 監督:キャスリン・ビグロー

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2747908

 

裏切りのサーカス コレクターズ・エディション [Blu-ray]

サーカスは英国諜報部の隠語。豪華キャスト。だが難解。ちょっと調べてみたが、原作はジョン・ル・カレで、有名な三部作スパイ小説だそう。読者なら行間を埋められるのか?この題名も一癖あり、ジョン・ル・カレも、マザーグースの古典表現に掛けて題名を練ったのだなあ、と知る。17世紀まで遡るらしいが、英国人の女児が縄跳びなどで結婚相手を占ったりする言葉遊び、とのこと。要するに、ソ連の二重スパイ捜しなのだが、題名や原作からして「英国的」であるため、同じスパイ物でもアクション映画のようにスカッとはしない。だがその方がリアル?

読了日:10月12日 監督:トーマス・アルフレッドソン

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2663010

 

L.A.ギャングストーリー ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]

アツい話が好きな人にはオススメ。だがぶっちゃけ、禁酒法時代のアル・カポネを追い詰めた『アンタッチャブル』と酷似。闇の権力に抗し、買収に応じない上に熱血硬派で荒くれ者の少数精鋭がガチンコで戦争を挑む、すごい展開。しかも、相手は実在のミッキー・コーエンという戦後すぐの大物だそうだ。ただし細部は事実と異なりそうだ。あくまでもinspired by true storyなので。驚くのは、『アンタッチャブル』の時よりも撮影技術が進歩して迫力満点ではあるが、戦前と戦後で、善人の屈し方、街の支配のされ方が酷似な点だ…。

読了日:10月11日 監督:ルーベン・フライシャー

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2661129

 

LOOPER/ルーパー [DVD]

若干のネタバレ。最初は、タイムトラベル完成済の未来と違法に繋がる犯罪組織(彼らも近未来の組織だが…)の、「ループ」を巡る掟及び掟破りの顛末やいかにって感じで観てた。なるほど瞬間の着想とはいえ、自らの身の上と照らし、そういう幕引きもあるのか。たしかに彼は『ターミネーター』のジョン・コナーじゃない。あのシリーズではとにかく彼こそが生きる必要がある。だが、この話では逆転。未来から乗り込んでくる主人公が、ある男児を追い詰める。実は主人公こそがレインメーカーを創ってしまう存在と予見された。土壇場の憎悪ループ防止。

読了日:10月09日 監督:ライアン・ジョンソン

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2659624

 

オブリビオン (サントラ・ショートエディションCD付き)(初回生産限定) [DVD]

若干のネタバレ含む。「49号は偶然にもホラティウスの叙事詩に出会い、本人の記憶と一番マッチした人格に辿り着いた」と仮定して、他方で「湖畔の家」の約束を52号も覚えてたとすると、他のクローンも同じく懊悩してた可能性がある。記憶の内容だけを採ってみれば、49号だけ特別とは勘違いかもしれない。だが、彼は詩集を手に取り、現に自己変革をし、地球のために散った。ジュリアは、52号という同時多発的救世主候補第2位(?)に過ぎない人を、受け入れられるのか?地味に、器の同一性と、精神の不同一性って壁を思いちと悲しくなった。

読了日:10月07日 監督:ジョセフ・コシンスキー

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2655362

 

■ステキな金縛り スタンダード・エディション [DVD]

とある殺人事件の被告人が冤罪だと立証するには、その被告人が獄中で述べるように、とある不気味な旅館の一室で金縛りにかかり、落ち武者の幽霊と遭遇していたと証明できないといけない(笑)。要するに、死亡推定時刻、被告人が一点から動けなかった、現場に居なかったというアリバイの証明。荒唐無稽なのだが、「それ以外に方法がない!」となると、幽霊が見えない裁判官たちにどう受け入れてもらうかを、一緒に必死こいて考えたくなる不思議な魅力に溢れた映画。証拠能力とか証明力とか細々いわず、法曹界の人たちに観てほしい。初心に戻るかも。

読了日:09月21日 監督:三谷幸喜

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2617045

 

ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [DVD]

岡田は大谷の小説のファンとして大谷の現れる飲み屋に入り浸るが、佐知の健気さに惚れてしまう。佐知は弁護士志望の貧乏学生だった辻を見限って大谷と結婚したが、辻は終盤、大谷の刑事事件の弁護人依頼を、佐知の肉体を対価に引き受ける。という風に、幾多の男を魅了し、あるいは汚されながら、佐知は大谷という破滅型人間を見捨てない。大谷の自殺願望や、愛人の秋子との未遂事件を見るに、大谷は太宰の分身だろうと察しがつく。大谷は踏まれても花を咲かすタンポポの誠実を佐知に見ていた。健気さとスレ違いの度合いがでかすぎて胸を打たれる話。

読了日:09月21日 監督:根岸吉太郎

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2617028

 

リアル・スティール [DVD]

王道の少年漫画的設定(『鉄人28号』や『プラモ狂四郎』、『プラレス3四郎』のようでボクシング。あとNHKのロボコン等も足せる)に、親子の絆を取り戻すホームドラマが加味されて、とてもおもしろい映画。(1)スクラップのロボットが、偶然にも、(時代遅れのはずの)ただ眼前の人間の動作を真似るシャドーイング機能を有することと、(2)元ボクサーの親と養子に出されかけの息子が、協働でボクシングの動きを仕込むこととが、絶妙にミックスされ、プログラムの高度化した近未来で、ヒューマニティーの復権を訴える効果まで産んでいる。

読了日:09月20日 監督:ショーン・レヴィ

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2615560

 

源氏物語 千年の謎 通常版 [DVD]

ネタバレ若干込み。着物や調度品等の美術、雅楽などの音楽が素晴らしい。けど、人選は個人的に△。当時のイケメンは、例えば切れ長の目等が受けたのでは?などと考えるとき、藤原道長役の東山紀之みたいな顔立ちは許容の一方で、光源氏が生田斗真とは、ジャニタレ等が持て囃される、西欧化した現代日本の美的基準では?等と疑問符。女性陣は、桐壺、藤壺、葵の上、夕顔の君、六条御息所は出るが、朧月夜の君、明石の君、紫の上などは出てこない。六条御息所の生霊は、紫式部自身の呪詛だったという解釈は怖すぎるね。安倍晴明も警告するほどとは。

読了日:09月19日 監督:鶴橋康夫

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2614212

 

■劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル 超完全版 (2枚組) [DVD]

これまでの一連の物語の延長としてあるので、すごく大事なところで古いネタが思い出せない人と、思い出せるマニアックな人とでは楽しめる深度が違うかもしれない映画。とはいえ、この映画外のトリビアルなネタが思い出せなくても、小ネタの連続体でもあるので、随所で面白いのだが。ただ、村の名前からして自虐的示唆があるように(?)、迷信やオカルトを科学的に分析していくとネタが尽きてきて困るのか、方向性として、謂れ無き差別だとか悲恋だとか、急にお笑いからシリアスに振れてしまう。途中から実社会の嫌らしさと連動してしまう。不可避?

読了日:09月18日 監督:堤幸彦

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2611676

 

ブギーマン [DVD]

英語圏の人達が幼少期に聞かされる(らしき)、「クローゼットの中から魔物が子供を連れ去りに来る」というホラー。クローゼットが自宅にビルトインされてない時代の人がこれを観たら、単にホーンテッドハウスの変型だとしか見れないだろう。家自体が憑かれているという説明とどう違うのか?謎解きの要素はあまりないが、最大の謎は、「始まりに戻れ」というアドバイス付近。そのアドバイスが主人公に効くということは、彼の想像力の高さが、ブギーマン恐怖を高め、魔物を実体化させたのが始まりということで、退治は半ば主人公の義務だったのかも。

読了日:09月16日 監督:スティーブン・ケイ

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2607244

 

■ラッシュライフ [DVD]

原作未読。若くして文学賞を獲る作家が居るように、若くして映画賞を獲る監督も居うる。だから、予告編等に曰く「伊坂幸太郎×東京学芸大学」というコラボにて、4監督の小編がオムニバスのようでいて一つに繋がる実験性は好きだと擁護したい。ただ、この作家の他の映画化作品は思いつくだけで『アヒルと鴨のコインロッカー』『重力ピエロ』『ゴールデンスランバー』『死神の精度』など多岐にわたり、しかも個人的にはかなり高評価。それらの印象に比較してしまうと、個々の役者さんがいい味出してるのに昇華されない何かが残った観、が否めない。

読了日:07月22日 監督:Array,遠山智子,野原位,西野真伊

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2482781

 

黄金を抱いて翔べ スタンダード・エディション [DVD]

日本の銀行で『オーシャンズ・イレブン』という感じ(少数精鋭)。しかも、すごく泥臭い方法。模倣不可。原作の力点は不明だが、北朝鮮(韓国?)の元工作員に、陽動用途の爆弾を造ってもらう筋が無理スジでは。例えば原作者と相談の上で、警官や自衛官の危険物取扱い経験者に置き換えるという再設定はありえなかった?あ、でも黄金を捌く海外逃亡ルートは、釜山等経由なんだものな…。ところで、人の居ない所に行く願望って、死後の神の国へ翔ぶのか?サブキャラもいい味出してたが、結局、妻夫木聡の役の魂の救済みたいなところが主たる筋なのか?

読了日:07月22日 監督:井筒和幸

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2482712

 

探偵はBARにいる 通常版 [DVD]

明智小五郎や金田一耕助とは異質だが、僕はこの名乗らない探偵が結構好きだ。実際の探偵稼業は、地道な聴き込みや張り込み、資料集めや撮影作業などリサーチ関連が目白押しだろうから、際立った非現実トリックの謎解きより地道に人の痕跡を辿る点で、ある意味リアルかもしれない。もっとも、クライアントのコンドウキョウコ(字幕ではカタカナ)に電話越しで惚れかけたり、その電話が今時めずらしい、バーの黒電話のみ(携帯不所持)だったり、随所に楽しい「制約」もついて回るが。終盤の射殺シーン、セキュリティチェックもツッコミどころか。

読了日:07月21日 監督:橋本 一

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2482120

 

■アルゴブルーレイ&DVD (2枚組)(初回限定版) [Blu-ray]

ラストに、実際の6人の外交官のIDと役者さんの顔を対照するがよく似てる人を連れてきたな…と感服。だが、付録で出てくる(つまり、本編で確認しようがない)トニー・メンデス本人だけ、ベン・アフレックと全然似てないのが面白い。そこかよ。というご指摘もあろうが、まずは書いておきたかった。Go fuck yourself.(くたばりやがれ)にちなんだArgo fuck yourself.はなかなか痛快な所で使われている。イランは、映画ごっこで出し抜かれたと認めると国辱ものだろうので、絶対認めないだろうなと深く頷いた。

読了日:07月18日 監督:ベン・アフレック

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2475610

 

麒麟の翼~劇場版・新参者~ 通常版 [DVD]

結構、原作に忠実な作りだと思う。いい話だとは思うのだが、日本橋の麒麟像を、ここまで美化できるのはすごい(苦笑)。新垣結衣の台詞にあったが、実際には橋の頭上に無粋な道路が走っているから、麒麟は飛び立てないかのようだ。日本の道路の起点であり、加賀恭一郎ら登場人物が立ち返る、象徴的な原点にもなっているのに。ただ、中井貴一扮する会社部長さんが示したメッセージは、息子と部活の仲間のみに向けられたのではなく、事件解明者の加賀にも、巻き添えを喰らったはずの新垣結衣扮するサブキャラにも影響を与えたように見受けられた。

読了日:07月18日 監督:土井裕泰

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2474707

 

■アベンジャーズ [DVD]

色々興味深い映画。アスガルドは一神教の観点からは地球外生命体と同類項なんだね…。北欧の人たちは、マーベル・コミックファンになれるのか?ハルクは怒りを制御できない代わりにリーサル・ウェポンなのかと思っていたが、意外にもチームワークで戦っていたのが印象に残った。あと、原作がある上での映画化だろうので、コミックが出た当時のマーベル編集陣の意思決定にケチをつけることになるのかもしれないが、ウルヴァリンスパイダーマンはなんで呼ばれないのか?彼らを除いて地球最強のヒーロー軍団ってのは微妙ではないかなと思ったりした。

読了日:07月17日 監督:ジョス・ウェドン

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2473018

 

推理作家ポー 最期の5日間 [DVD]

辞典曰く:原題のravenはcrowよりも大きなカラスで、死や悪病を予知する邪悪な鳥、という含意が既に英語圏には共有されてるようだ。『大鴉』という表示だけでは、イマイチ恐怖が伝わらないかも?僕は江戸川乱歩が好きで、逆算してエドガー・アラン・ポーが彼の敬意の対象と知ったタイプ。『黒猫』や『黄金虫』とか日本で有名なものは出ない…。彼の作品の模倣犯が、法律の演習みたいで(?)スリリング。自在な想像力は脳内や書籍にとどまる限り芸術たりうるが、実践は犯罪になりうる。でも書くこと自体を禁じたら表現規制で違憲っていう。

読了日:07月16日 監督:ジェームズ・マクティーグ

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2471782

 

サイレントヒル [DVD]

GyaO!で無料視聴。ゲームファンには面白かったのだろうか?僕には色々疑問符がついたまま、怒涛の勢いで終わってしまった。アメリカの一区画が丸ごと閉ざされているというのがそもそも理解に苦しむ。バイオハザードシリーズはゲームでもプレイしたが、ゾンビの撲滅目的で原爆を落としてクリアにする思考を、大統領が実行に移したなら(被爆国としては、まだその思考か、だが)なんとかまだわかる。少女の憎悪が灰と霧で覆われた街を支配するありようが脈絡無さすぎ。ものすごい化け物が現れては消え…でも、結局、あれは独りの憎悪なんだよね?

読了日:07月10日 監督:クリストフ・ガンズ

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2457817

 

■パレード (初回限定生産) [DVD]

憲法は通説によれば13条の幸福追求権(個人尊重)を軸に制度設計されている。それが極論されたなら、こういう、付かず離れず良い関係のようで、当たり障りなき表層的なルームシェアになるのかもしれない。最後、連続通り魔が「視線」により語られる。にもかかわらず、誰も警句を発せず、通報もせず、伊豆高原への旅行プランが淡々と語られる。一番の重罪人にさえ相対主義、あれは濃密と希薄の間(著名映画のパロディー)。凍てつく間合いと空気と行間と。怖いですよ。とにかく原作を読んでみたくなった。

読了日:07月04日 監督:行定勲

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2446007

 

Sweet Rain 死神の精度 スタンダード・エディション [DVD]

ジョーブラック移植ものかと勝手に邪推していたが、流石の伊坂作品原作か。ミスチルの『雨のち晴れ』もびっくりの貫徹ぶり、死神の千葉(なぜか名前がある)は、「仕事」の際に必ず雨が降る一貫した(?)雨男…。しかし、仲間は晴れ間を知っている。そしてどうも、人生の深みを理解すると、雨が降らなくなる設定であるようだ。彼らの行動原理は半ば自然の摂理そのもののため、オート執行を続ける限り、決して人間の機微は悟れない。あとヒロインの「履歴」の一貫性に終盤にかけ驚かされる。最後、爽やかだが、最期も爽やかに執行したのかは気になる

読了日:07月04日 監督:筧昌也

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2445993

 

■ノウイング プレミアム・エディション [DVD]

若干ネタバレ含む。2009年の世界が舞台(もう無い?)。このたびようやく鑑賞。備えあれば憂い(原典ではたしか、患い?)なし…というが、前提として知ることが大事。でも予断や偏見が入り、事実認識ができなかったら?ニコラス・ケイジは新アダムとイブを送り出すために知恵を授かったのであり、生き残りのためじゃなかったのが衝撃。ある意味、SFの形を借りた超絶の決定論映画。ただ、造物主=エイリアンかもしれない留保が残るが…。『2012』はあくまでマヤ暦の神秘+水没だったが、本作は暗号化された神意(?)+太陽フレアで焼失。

読了日:07月03日 監督:アレックス・プロヤス

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2445096

 

■イット [DVD]

ネタバレ?注意。原作小説では設定はどうだったのだろう。3時間超のボリュームで、AB両面をひっくり返すDVD。サイドAは謎と恐怖に満ちて良い感じ。サイドBは中盤以降失速。時代的制約というか、観客を納得させる安易な妥協案として、ラストにあの蜘蛛のような蟹のような(具体的で可視化された)敵を用意する修正をしてしまったのでは。デリーの街に巣喰う見えざる暴力性、事なかれ主義といった、大人になっても残存する「病」も添えつつ、主として、自らのピュアさが幼少期に見させる、「人の世の恐怖や悪意の総合体」がITかと思ったが。

読了日:07月01日 監督:トミー・リー・ウォレス

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2442176

 

デンジャラス・ラン [DVD]

原題はセーフハウス。FBIの証人保護プログラムとCIAのそれの違いは我が国では微妙だが、この話は後者。デンゼル・ワシントン扮する伝説の諜報員(ダークサイドに堕ちている)が、ライアン・レイノルズ扮するセーフハウスのメンテ役で新米諜報員のもとに収容される。彼が持つ、とある資料が流出するのを恐れる輩がセーフハウスを襲撃。ベテランが前線で死んじゃうので、新米が、伝説の諜報員を身柄保護しながら脱出しなくてはならない。新米のあれこれやり込められながら懲りないガッツに敬服。あと、伝説の諜報員の目的も胸アツというやつだ。

読了日:06月30日 監督:ダニエル・エスピノーサ

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2439597

 

■アウトロー [DVD]

ジャックは、独特の無法者。米国の訴訟制度は、軍法会議と棲み分けているが、彼は元・軍隊における内偵・調査をする凄腕だった。退役して雲隠れしているのは、国家からも犯罪者からも付け入られる隙を作らないためのようだ。そして思い出したかのように現れるときは、独特の正義観に基づいて鉄槌を下すときである(法の限界を知らないのではなく知りつつ破る)。この映画は、連続した彼の日常のある一幕として、女弁護士に調査員として雇われるケースがあった、という描き方である。そこに定住はしない。原作はシリーズらしいので、続編もあるのか?

読了日:06月30日 監督:クリストファー・マッカリー

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2439588

 

■PUSH 光と闇の能力者 [DVD]

他の方もご指摘の通り、設定自体は面白いが、活かしきれてない。ウォッチャーやスニファーを撒くためのトリックがどう利いているのか、相互関係がよく把握できないので、消化不良感が残ってしまうのが残念だ。いわばX-メンを、多彩な能力群のままでなく、4,5個の能力に整理し、敵味方に分けてみた感じ。能力を分類整理したのだから、わかりやすくならないと困る…。物語の展開や相互関係がわかりづらいのを除けば(大きな欠陥だが)、個別のアクションシーンや視覚効果はカッコいいものが多い。蛇足だが、ヒロイン二人は魅力的だったと思う。

読了日:06月27日 監督:ポール・マクギガン

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2432426

 

■オーメン (特別編) [DVD]

監督ご自身が、付録インタビューで(単なる)ホラーとは思わないと言っている。一瞬「え?」という感じだが、悪魔の子を育てた父親が、出自につき謎解きをして回るという意味では、黙示録をコードにした悪魔版『ダ・ヴィンチ・コード』、歴史サスペンスやスリラーとも言えるのかもしれない。7が完全性の数字でその不完全体が6、三つ連ねるのは悪の三位一体という。なるほどと思いながら、他方で、歴史学が示すネロ説、カリグラ説など「暴君=人の姿の実在の悪魔」という説明(禁句を数字に託した)のほうが、無神論の僕などは納得できたりもする。

読了日:06月27日 監督:リチャード・ドナー

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2430802

 

■劇場版DVD 名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌【通常盤】

GyaO!で無料公開していた(期間限定)。若干のネタバレ含む。題名からの連想は洋画の『レクイエム・フォー・ドリーム』と洋楽のThe Pigeon Detectivesだったりする。個人的趣味だが。探偵キャスト総動員で『ダイ・ハード3』みたいに移動しながら謎解き。結構スリリングで楽しめた。しかし、ミイラ取りがミイラになるではないが、犯罪研究をするサークルが完全犯罪を目論む犯罪者志願の温床になっているというのが、現実に有り得そうではある。妖刀の伝説ではないが、持つと必ず試し斬りしたくなるというような。

読了日:06月05日 監督:山本泰一郎

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2378106

 

■モールス [DVD]

若干のネタバレ込。『トワイライト』など、異種間の恋愛が流行りましたが(観ておらずすいません)、この映画は、12歳同士のピュアな恋愛を素材に、その手の設定にすごくリアルなツッコミを入れた映画かも。主人公の少年オーウェンが最後に引き受けた事態の帰結は、既に作中、あるおじさんによって先取りされ表象されている。バンパイアを増やさずにバンパイアを養うには、人のほうがシリアルキラーを担当するしか無い…。モールス信号は多用されないが、ラストのためにのみあった設定かもしれない、と思い直した。悲壮な中にも、静謐な美しさ。

読了日:05月28日 監督:マット・リーヴス

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2361158

 

ドニー・ダーコ [DVD]

インタビュー集で、色んな解釈があり得るので試してという。不条理ながらリアリズムがあり、観客も最後に自分探しをしてたと気付かされる、云々。同感だ。いわゆる預言者も、現在の基準で周りから見れば、処方薬を飲まないと社会不適合な疎外状態だろう。だが彼は聖人なので、社会のほうが狂っているのではないか?それを現代的少年で再現した。SF風味のループも、『バタフライ・エフェクト』と同じ自己犠牲で、クリスチャンの本懐を時空を超えて成し遂げただけ。何も狂ってない。世界は狂ってて、条件設定通りリセットされ(一旦は)終わるが。

読了日:05月28日 監督:リチャード・ケリー

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2359047

 

■スリーデイズ [DVD]

仏のフレッド・カヴァイエ監督による08年の映画(『すべて彼女のために』)のリメイクだそうだ(プロダクションノートによる)。労働者階級出身のインテリという設定をアメリカに持ち込むために、労働者階級の街として発展したピッツバーグを選び、主人公のラッセル・クロウも格闘技の使い手だったりしない。妻の冤罪への怒りや、理性こそが彼を追い詰めていく。アレゲニー郡刑務所が撮影に協力、実際の設備が、緊迫感を出すのに一役買っている。最後の種明かしは、なるほど「物証」からの逆算は、かくも危険なスレ違いを孕むんだなあと思わせる。

読了日:05月26日 監督:ポール・ハギス

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2358541

 

■ザ・タウン [DVD]

アメリカ、ボストンはチャールズタウンを舞台とする、ある意味でとても狭い世界の物語。しかし、お金が集まる土地柄だけに、突発的な強盗ではなく、「職業強盗」が群集する(そうだ)。原作小説があり、終幕時の表示では、『Prince Of Thieves』だったと思う。取材源は、引退した強盗か?そう思うくらい、迫真だった。ただジャケットのデザインが微妙で、賛辞のキャッチコピーも「単にドンパチだけか」と誤解を招きかねない気が…。実際は、街自体が犯罪の温床で、構造的暴力を内包してるという告発を含む良作だったと思うけどね。

読了日:05月25日 監督:ベン・アフレック

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2352889

 

ロング・グッドバイ [DVD]

村上春樹翻訳の新版原作を、読みかけにしてる中、ツタヤで発見。そもそも、僕の中では、もう少しだけ時代が前という印象だった。つまり…。ヨガやらヌーディストやら、原作に関係してたのか?ハードボイルドとしてフィリップ・マーロウはよく引き合いに出されると思うが、イメージを損ねる気がするんだけど。時代考証ミスや翻案ミスということか(じゃなくて、アレンジと善意の解釈をすべきなんだな)。…ともあれ、マーロウは親友の冤罪を証明するために奔走し、驚愕の事実に辿り着く。トリビア→若き日のシュワルツネッガーもちょい役で出てる。

読了日:05月22日 監督:ロバート・アルトマン

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名探偵コナン「銀翼の奇術師」 [DVD]

ネタバレ込。GyaO!で劇場版第1作を観た関係で続けて鑑賞(苦笑)。ライバルというがこの話を見る限りでは、怪盗キッドのほうがウワテ。二人が組んで『ダイ・ハード2』を空港サイドじゃなく、操縦席サイドでやってのける。比較の洋画が古いのはご愛嬌で。ただ苦言だが、サバイバル劇と殺人の謎解き劇とが分断され、しかも前半の関心だった盗みは流れている。あのトリック、飛行機に乗る前に、別の何処かでやったほうが成功率高い。おかげで操縦室もとばっちり。あとちょいネタで江戸川乱歩少年探偵団シリーズで『塔上の奇術師』ってあったね。

読了日:05月20日 監督:

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2342319

 

のぼうの城 通常版 [DVD]

太閤秀吉の差し向けた2万の軍勢を500騎と地元農民の協力とで凌ぎ切った、約400年前の埼玉県の話。埼玉県民は誇っていいね。ただし、厳密には(行政区画等の変動もあろうが)、直接の子孫は行田市の皆さんに限られるだろうけど…。かの織田信長も、若いころは大うつけ等と呼ばれていたそうだから、木偶の坊を略した本作の「のぼう様」も、その種の大物だったに違いない(笑)。脇を固める重臣たちがまた、個性豊かで魅力的である。ただ、当時の人権意識及び政略結婚等の風習からして、甲斐姫の件は(史実を歪めるわけにも行かず)残念の一言。

読了日:05月09日 監督:Array,樋口真嗣

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■劇場版 名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード) [DVD]

GyaO!で観た。題名、映画『ラビリンス』のテーマ曲やクラプトンのバンドCreamの『Crossroads』を思い出した。ミスチル想起という人も居るだろうがそれは好みでしょう。冗談はさておいて、関西設定ですね。京都は碁盤の目のように精密に道路が敷いてあるから「迷宮なのか?」と思うが、十字路に掛けた暗号(弁慶と牛若丸に因んだもの)なのだね。わからないと迷宮入り。割と深い。ただ、犯人の動機が、少し微妙な気がするな…。これまでに、GyaO!で過去作をランダムに観せてもらった中では…。そのため締めもやや微妙かも。

読了日:05月07日 監督:こだま兼嗣

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ドラゴン・タトゥーの女 [DVD]

ミカエルは、証拠を地道に集め推論をし、巨悪を暴く正攻法の(しかし、はみ出し者な)社会派ジャーナリスト。名誉毀損訴訟で敗訴し、多額の賠償金を払う羽目になるが、スウェーデン一の同族企業グループの長から、身内の失踪女性の捜査に粗がなかったか調べてくれれば、彼が敗訴した相手の弱点となる証拠を提供する、と誘われる。やむなく引き受けたら、命を狙われる羽目に。情報時代の寵児だが相当病んでいる龍の刺青娘リズベットが、彼を陰に陽に助けてくれる。そのおかげで失踪事件と名誉毀損訴訟のいずれも収束。なのにラストは気の毒すぎるよ。

読了日:05月02日 監督:デヴィッド・フィンチャー

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■TIME/タイム [DVD]

時は金なり(Time is money.)を地で行く世界。遺伝子操作で人が25歳の容姿のままで成長(老化)しない。かつ、時間が通貨になっている。でも、宇多田ヒカルでなくとも、時が過ぎればわかる(Time will tell.)こともある。そのためには一定の老いがあり、一定の悟りがないといけない。本作の中には、老いない権力者(100とか80とか年齢が本当に不詳で困る)が出てきて、強欲限りない。お洒落なSFの形で、実はマルクスが『資本論』で批判した資本主義の極端な末路の一形態をビジュアル化したのかもしれない。

読了日:04月30日 監督:アンドリュー・ニコル

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■新参者 DVD-BOX

レンタルで、ようやく5枚目まで鑑賞完了。往年のファンほど詳しくないが、加賀恭一郎は日本橋署に来るまでは練馬署の刑事だった。親類が練馬区在住なので、大変残念な人材流出(苦笑)。未解決事件をどんどん解決して欲しかったのに。冗談はともかく、表題の新参者はトリプルミーニングのようだ。加賀と、後輩の青山亜美、被害者の三井峯子。最後の締め(〆)の台詞が加賀のすごさを示している。「私は何者でもありません。この街では私は新参者ですから」と謙遜しながら、彼は、街の人情や機微や秘密に、聴きこみや論理で丹念に分け入っている。

読了日:04月29日 監督:

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バイオハザードV リトリビューション(初回生産限定) [DVD]

製作陣に、初期の志(?)を思い出してほしい。謎解きの要素。組織の意図やアリスの存在意義模索など。初期「キャスト」はズラッと揃ったが(殉職者多し)。話の構造も、固まる・餌がないとかの理由で外のゾンビが寄り付かない、「極寒のロシア実験施設内部からの脱出」に目的は絞られる。筋はシンプル。ところで、サードまでに人類は激減した設定。それを一旦よそに置くには、隔離された施設が舞台に必要だったんだろう。ラスト、今作までに人類の総数がどれくらい減ったか、視覚的に示される(今回、唯一の謎解明?)。そういうわけで6で完結か?

読了日:04月29日 監督:ポール・W・S・アンダーソン

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■【初回限定生産】タイタンの逆襲 ブルーレイ&DVDセット(2枚組)  [Blu-ray]

タルタロスは神で同時に奈落そのものという二重概念、調べると独特な発想。そこを、ヘパイストス=鍛冶の神が設計したラピュタ状態に再解釈してあり、面白い。奈落の迷宮だが物質化されて、神でない扱い。冥府に(本来はもっと深部らしいが)封印されている十二神の前の巨神族(タイタン)の長がクロノスで、時の神(クロノグラフの語源)。かつ、ゼウスたちの父。ペルセウスは祖父を倒す羽目になる。美術が素晴らしく美しいのだが、行間が省かれすぎ、神話の予習が必要。その意味で脚本に難あり?あと半神ならテセウスやヘラクレスも欲しかった。

読了日:04月28日 監督:ジョナサン・リーベスマン

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アイアンマン3 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

『アイアンマン』の1と2のみならず、『アベンジャーズ』までも鑑賞していないと、随所で含意を酌み取れない驚き。あくまでも、『アベンジャーズ』はオールスターのスピンオフで、内容がこのサードに反映されるとは思ってもみなかった。なので、これから鑑賞予定の方は、『アベンジャーズ』まで含めて予習されることを薦めます。肝心の内容はというと、とても格好良いですよ。劇中に出るマンダリンの意味を覚えておき、ガイ・ピアースの最後の台詞を聴くところまで至ると、現実におけるビン・ラディン張子の虎説、演劇説という陰謀論を思い出した。

読了日:04月27日 監督:

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2275588

 

耳に残るは君の歌声 [DVD]

ジャケットでは猛プッシュだし、ジョニー・デップはイケメンと認めるが、重要なサブキャラの位置づけでしかない(なんとジプシーである)本作。『母をたずねて三千里』をもじっていえば、クリスティーナ・リッチによる『父をたずねて三千里』だね、これは。ただ、全くの昔話というほどクラシカルな時代設定ではなく、1927年のロシアから物語は始まるので、第二次大戦勃発への大きな流れの中で物語は進展していくことになる。主人公はロシア系のユダヤなのでファシズムの危機にも見舞われる。でも骨子はやはり終点としての父を捜すプロセスだね。

読了日:04月25日 監督:サリー・ポッター

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2271689

 

嗤う伊右衛門 [DVD]

四谷怪談の翻案もの(らしい。京極夏彦原作だが未読)をさらに映画化しているためか文語調が炸裂し、一聴だけでは意味が聞き取れないことさえある。原作を読んでからの鑑賞を薦めます…汗 元来四谷怪談の筋は、旦那の伊右衛門がお岩さんを裏切ることで恨みを買うのでは?と朧気な幼少期の怪談の記憶を手繰る。細部は端折るが、今作では、鬼畜な与力が居て、家のお取り潰し等を避ける伊右衛門夫婦の心理が逆手に取られ、忍耐の末とうとう伊右衛門がブチ切れる。京極堂シリーズのように、人の心に魍魎の類が憑きこの件が起きたという筋なのかなあ。

読了日:04月25日 監督:蜷川幸雄

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2271681

 

■ホワイト・ライズ [DVD]

昔、彼女とリメイク元ネタの『アパートメント』を観たが、時を経て独りでリメイク版を観ることになるとは。「なんか観た筋だ」と思い調べたらやはりリメイクだった…と得心の展開。『バタフライ・エフェクト』みたいにトライできる選択肢は全て試すというようなものではないが、時系列がシャッフルされていて、なぜこのような場面が前に流れたのかきちんと謎解きしながら進むので、不満は残らない。ダイアン・クルーガーは誰が見ても美人だと思うが、ローズ・バーンも日陰ながらいい役どころ。最初に彼を見出した人なのにね…。報われないものだ。

読了日:04月25日 監督:ポール・マクギガン

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2271678

 

■バウンド [DVD]

ウォシャウスキー兄弟のデビュー作、という謳い文句だった気がする。レンタルのポップだったか。一言でいうと、レズビアンのカップルを、マフィアと対峙させて勝たせる映画。それだけ?なのだけど、そこは女性ならではの制約でハラハラさせるようになっている。刑事物ならば、刑事が銃乱射をしつつ殴りこみをかけて、拉致された相棒を助けたりというド派手な展開がありうる。だが、非力な女性ではそれを望めない。そういう中での現実的な範囲での機転や(悪)知恵による(女性が非現実的なまでに、超絶に強いという設定によらない)、現金横領劇。

読了日:04月25日 監督:Array,ラリー・ウォシャウスキー

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2271125

 

■宿命 [DVD]

WOWOWドラマ。東野圭吾の原作を読んでからの鑑賞。原作から得た印象は、次のようである。父子家庭で、刑事の父が死に、学資に窮し、医者になり損ねたやさぐれ気味の和倉刑事を軸とする他方、名家で育った瓜生医師は、クールでノーミスだが誰にも心を開かないサブキャラ、というイメージだった。しかし、本ドラマでは医師が軸で、刑事が衛星である。比重の組換が興味深い試み。ただ、(親の七光りの有無を除き)切れ者でイケメン同士のライバルというのは、ちと美化しすぎでは…。切れ者同士のライバル、とは小説からも窺えた気がするが…。

読了日:04月25日 監督:若松節朗

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2271088

 

マイレージ、マイライフ [DVD]

リストラの必殺仕事人が全米を飛行機で飛び回っているために原題のUp in the air らしいが、同時に、ワーカホリックでいい歳まで独身を楽しんでしまい、地に足が着かないの意味でもあるようだ。観終えた後に気づく、遅効性の毒。三十路のヒロインとああいう展開になったことに憤慨。別のヒロインのために推薦状を書く辺りと併せ、ライアンの内面変化が巧く描かれている。家族のために助力したりもする。でもやっぱり、原題の毒を感じる締め。邦題は彼の「目標」の虚しさと、それに気づいた後の人生とに力点が均等に置かれてるのか。

読了日:04月24日 監督:ジェイソン・ライトマン

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2270993

 

■劇場版 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊 [DVD]

GyaO!にて。原作漫画ではどうか知らないが、江戸川乱歩プラスコナン・ドイルな主人公の特質が、本作ではとても良く活かされている。題名からして、シャーロック・ホームズ絡みと窺わせるが、モリアーティ教授と切り裂きジャックも登場して素晴らしい。別ジャンルとのミックスも良い。タイムスリップもののようで少し違い、SFのうち、電脳系。優れた人工知能が反逆、子どもたちの命を盾に勝負を挑んでくる。彼が設定したゲーム舞台がイギリスのある時代を含んでいた、という構図。ところで、明智小五郎と東京を舞台にした劇場版はあるのか?

読了日:04月21日 監督:こだま兼嗣

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機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編  [DVD]

GyaO!で。大人になった今となっては、ララァ・スンとマックスで分かり合えたと思った途端に瞬殺してしまう、あのゲルググを庇うシーンは悲しいね。あと、ギレン・ザビ、ヒトラー似。幼少期に観た時に頭に残らなかったものは、当時、関心を持ってなかったものなんだな。今は、戦争回避するにはファシズムのメカニズム解明が必要とわかるから、「おお、宇宙世紀のSFだけど、現在の延長って感じだな…」などと妙な感慨。あと、メカは、ガンキャノン2台だし、Gファイターじゃないし、ビグロやザクレロ、ギャンが出てこない驚き。そうなんだ…。

読了日:04月20日 監督:富野喜幸(現:富野由悠季

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■リンカーン [Blu-ray]

さっそく「発売予定」のブルーレイがヒットするのがこのサイトのご愛嬌でありましょうか。本日がシネマサンクスデイということで映画館で鑑賞(ちなみに朝一のです)。スピルバーグ監督が10年以上構想を練ったというだけあって、まとめの労苦が窺われる。ただ、これから鑑賞予定の方は、軽く歴史の復習をして予備知識を蓄えてから観るのがオススメです。様々な名言や偉業、逸話を残したとされる彼ですが、本作は、奴隷解放と南北戦争集結に向けてのせめぎ合いだけに絞ってあり、色んな立場の人が各々早口でまくし立て、自説を述べまくりますので。

読了日:04月20日 監督:

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■劇場版 名探偵コナン 11人目のストライカー スペシャル・エディション(初回生産限定盤) [DVD]

テレビで流れていたので観ました。ドラえもんポケモンほどではないのかな、でも長寿ですよねこれ…。そして美しく良く動く(古い世代の感想?)。構図は、『シュリ』と似たものを感じた。ただ、北朝鮮と韓国の確執のように、同じ民族間で殺し合うからこその祖国統一の悲願とは違って、「何かに賭ける情熱の暴走」といったところか。その辺り、妙にイデオロギーに汚染されていないで、「ピュアさ故のテロというものが起こりうる」という思考実験になってる気がする。少年漫画らしいヒロイズム。犯人も完全には病みきれておらず(?)どこか健全。

読了日:04月19日 監督:Array,静野孔文

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エイリアンVS.プレデター 完全版 [DVD]

金曜ロードSHOW!で。前に観たのを忘れて最後まで観て、以前に観たと思い出した(唖然)。ピラミッドの設定が気になったんだけど、中南米、メキシコのアステカ文明がすごくフィーチャーされていて、エジプトとカンボジアの設定は活かされず。魅力的だけどね。施設の意味を解読する考古学専門家が一人(助手は居たがさっさと死んだ…)というのもな。プラス、他のマヤとかマチュピチュとか列挙してくれ。さらにエイリアン1に遡るが、彼らは真空の宇宙に放出されても生きられる設定のはず。そうすると、あのクイーンは…鎖さえ切れれば(汗)。

読了日:04月12日 監督:ポール・W・S・アンダーソン

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ワイルド・アット・ハート [DVD]

前半は、デヴィッド・リンチはおバカ映画も創れるんだな…というくらい凄まじいハイテンション。後半は割とシリアスが加味される。酒・女・煙草・セックス・ロックンロール。ドラッグは除く。随所にバイオレンスはあるのに(笑)。興味深いのは、車を用いた駆け落ちでロードムービーだけど、ファンタジックに、『オズの魔法使い』ネタが細かくフィーチャーされてる点。聴き間違いじゃなきゃいいが、If you're truly wild at heart, don't turn away from love.を言いたかったんだね。

読了日:04月07日 監督:デイヴィッド・リンチ

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■サンクタム [DVD]

ジャケットだけ見て、印象論としては『アビス』みたいに海底ものかと思って借りた。ところが、高い山頂の入り口から海へと抜ける、淡水で満たされた洞窟を下へと潜っていく冒険ものだった。ぶっちゃけ、海底資源開発のように、国益・社益になるなどの文脈はない。男のロマン。有史以来、ボンベもなかった時代は誰も立ち入ることができなかった地球の聖域に探検して記録化していくことに意味を見出すかで、面白さがその人の中で決まると思う。あと、ヒロイズム、父子の和解。見終えて改めて驚嘆するのは、「実話に基づいている」という出だしの表記。

読了日:04月07日 監督:アリスター・グリアソン

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■空中庭園 通常版 [DVD]

随所に喜劇的要素が詰まりながらも、ピリッとカラシも利いてる。小泉今日子扮する、京橋家のママは、何かのキッカケで思い込みが激しくなってしまった人。その思い込みにちなみ物語に充填されるテーマは、ネグレクト、引きこもり、いじめ、(親を反面教師にした)理想の家庭作り。ソニン扮する家庭教師が評するように学芸会、あるいはハリボテやお遊戯のようでも、必死に守る。ラスト付近で、兄から母娘がどう見えてたかと、母が自分を兄にどう話してたかようやく知る。ママの「思い込みの解除」と、家族の愛の物語かな…。空中から、着陸に成功。

読了日:04月07日 監督:豊田利晃

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■アナザー プラネット [DVD]

若干のネタバレを含む。なぜ、もう一つの地球が現れたのか?という謎解きはありません。でも、舞台装置として必要だったのだ、ということは終盤にわかります。アース2に行くチケットを譲って、最後、振り返った時に起こる現象は謎や含みを残すが…。あれは彼が、あちらの世界で、あるべき姿の彼女を見出して(しかもあちらでは事故の前に結婚生活も無く、家族の喪失もないとして)結ばれ、連れ戻ったのか。とすると禊は果たされたが、こちらの彼女は用済みになってしまうんだよな…。ドッペルゲンガーやボディ・スナッチャーじゃないだろうしな…。

読了日:04月06日 監督:マイク・ケイヒル

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ファニーゲーム [DVD]

ドイツ語だが英語の題名、カンヌ三冠というから野心的映画だったんだな(エンドロールには1997年のコピーライトマーク)。馬鹿げた遊びとは深遠だ。ナチズムファシズムとまともに向き合い考察し、「構造的暴力やルールメーカーが世を支配する」と風刺する。彼らにファウルやバイオレーションはないのだ。風刺が行き過ぎてドス黒くなり、現実の不条理な殺人も多分こうだろうと思わせるのがすごい。社会的規範の隙や、善意を逆手に取る主犯二人は、メタレベルから鳥瞰している観客も視線で誘い、共犯者にして巻き込む。「お前らも同罪だよ」と。

読了日:04月05日 監督:ミヒャエル・ハネケ

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■カールじいさんの空飛ぶ家 (期間限定) [DVD]

テレビで観た。アメリカのマッチョイズム伝統からすると、新たな試みの一例かも。類例では『エクスペンダブルズ』は使い捨て品って意味らしい。傭兵は駒だと。しかも引退した人はもっとだ。カールじいさんは妻との良き思い出に浸って暮らす、アメリカ人が最も恐れる「頑なな老い」の形を序盤で体現している。少年はたしかラッセルだったか。同国でボランティアやボーイスカウトが盛んでも、末席は非力で頼りない子供。だが、ファンタジーで、少年と老人の現実を転覆する!アメイジング。ラストに佇む家、遠景に微笑んでいるようでした(擬人化)。

読了日:04月03日 監督:

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レイクサイド マーダーケース [DVD]

東野圭吾原作(『レイクサイド』)。だけど、題名が長くなっているので、気づかれないかもしれない。原作をご存じの方には比較対照が可能かもしれないが、僕は未読。今後、読む動機になった(笑)。名門中学に入学する特訓合宿に、(面接対策も兼ねて)三家族がまるごと参加している。役所広司扮する主人公の愛人が、「家庭を壊す気はないから」と言いつつ、そこに詰めかける。そして撲殺死体に(汗)。「不名誉」を隠すための奇妙な連帯劇。学歴社会やお受験って、モラルをかなぐり捨ててまで従うべきものなんだろうか?という毒のある問いかけ。

読了日:04月01日 監督:青山真治

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■パンドラII 飢餓列島 DVD

このWOWOWドラマを観る前、『日本は世界5位の農業大国-大嘘だらけの食料自給率-』なる、農業系雑誌編集者で自分も農業経営者である人の書いた本を、先んじて読んでいた。なので、ドラマの警鐘から直結したイメージ形成(自給率が低いので日本ピンチ!)に即時は至らなかった。が、作中出てくるゴッドコーンという遺伝子操作技術による穀物のたぐいが、地球温暖化→砂漠化していく(とされる)地球の救世主になるような近未来は、別の形であり得る気がした。上述の「食料自給率とは農水省の印象操作に過ぎない」という批判を横においても。

読了日:03月30日 監督:

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■相棒シリーズ X DAY

鑑識の米沢さんの話と並びこちらも面白いです。特に主演二人の会話の噛み合わなさが。ともあれ金融専門家の感想群も知りたい。日頃の疑問もある。日本は世界に冠たる債権国(米国債保有や、途上国への円借款など)であり、国民の総資産も屈指だが、同時に将来の国民から借金を毎年している(日本国債を予算の半分近く刷ってる)。少子高齢化社会で納税者が減り、相殺するパワーがどんどん減る中、アベノミクスみたいに金融をジェットコースター化する力業も行使している。現状、奏功しているけれども。地力が減退している中で持続性があるのかとか。

読了日:03月29日 監督:橋本一

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死刑台のエレベーター 特別版 [DVD]

フランス映画のリメイク版らしいが、吉瀬美智子さんが美人だということを確認するための映画ですか?ぶっちゃけて言うと僕にとっては、つまらなかった。終盤に刑事がいう台詞はけだし名言だと思ったが。人は愛情の証を残そうとする。そうであるからこそ、愛に基づく完全犯罪なんてものは存在しないと(その、残そうとした証が物証になるから。観た人はご存知だ。ベタだが。それが何かは是非ご覧下さい)。敢えてカテゴライズするなら、人生の不条理や無軌道ぶり、刹那主義を描く映画の類いかな。若いカップルの方などは、まるでサイコパスみたいだ。

読了日:03月24日 監督:緒方明

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■評決 [DVD]

大事務所に入り、ボスの娘と結婚しエリート街道まっしぐらのはずが、裏工作に耐えられなくなってボスと喧嘩、辞表を突きつけたら妻と離婚させられ、それ以降引き受ける事件で連戦連敗、落ちぶれまくりの主人公。で、舞台は医療過誤訴訟。とにかくモラルハザードのオンパレード。だけど、アメリカの司法における正義は、陪審員庶民的感覚が支えているんだという筋書き。あと、時代が少し古いため、コピーの証拠能力が認められないとか、オリジナルに劣後するとか、技術が進歩してからの判例に相反する主張が飛び交うのはご愛嬌か。そしてビンタ。

読了日:03月24日 監督:

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2191975

 

トニー滝谷 プレミアム・エディション [DVD]

若干ネタバレ。短編をよくここまで立体化できるなと感心した。愛妻との時間においてはピアノが軽やかに響き、それ以外は沈鬱だったり悲壮なのもメリハリが効いて良かった。付録の予告編を観たら「切なくもあたたかい愛」の話だという。けど、理解者を喪うのだから、僕にとっては、この物語は超絶に静謐な寂寥と孤独の物語だと思うね。ただ、ラスト近く、宮沢りえ扮するヒロインが、近所のおばさんと洋服を譲る譲らないという下らない会話を通して、ブランドアビューズでない示唆がある。トニーは不死鳥のように蘇るのかな。暗転の後を夢想する。

読了日:03月24日 監督:市川準

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13階段 [DVD]

序盤、死刑場には13階段など存在しないことの言及がある。国民に対し、死刑は憲法が禁ずる、公務員による残虐な刑罰(36条)に当たるか否か考えてという配慮及び問題提起が感じられる「実演シーン」がある。併せて、「遺族の感情を考えろ」というが、被害者が先んじて加害者だった場合や、冤罪で死刑が執行された後に真犯人が見つかった場合の帰結の理不尽さについても、言及されている。あと、理論はともかく現実の警察や検察の「疑わしき誰かが帰責されるべき」という態度や、社会的制裁の苛烈さなど、死刑にまつわる問題点がてんこ盛り。

読了日:03月24日 監督:長澤雅彦

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チャーリー・ウィルソンズ・ウォー [DVD]

主人公は、悪名高きブッシュと同じテキサス出身議員ではあるが、とある偉業に貢献。女と酒が大好きだが世話好きで信義を重んじる、古式の男らしさの一類型みたいな人。偉業とは、こうである。旧ソ連のアフガン侵攻を食い止めるため、現地住民がロケットランチャーで対抗するシーンをCNN等で見た人は多数いるだろう。元々は、西部開拓時代に用いたライフルレベルでの脆弱な対抗だった。あの武器提供に尽力したのが、彼。ただ、ラストのほろ苦さは9.11に繋がる。事実に基づくそうだが若干誇張もありそう(苦笑)。引算した上でも、オススメ。

読了日:03月23日 監督:マイク・ニコルズ

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■クラウド アトラス(トム・ハンクスハル・ベリー出演) [DVD]

面白かった。一言でいうと、西洋人の理解を通した輪廻転生の映画。前世、現世、来世を、複数の物語が目まぐるしく交差。工夫も凝らされ、時空を超えた愛情、みたいなものも描きつつ、同時に懐疑もしている。例えばトム・ハンクスを例に取ると、ハル・ベリー演ずるヒロインと接点がある善人の時代と、他人に毒を盛る悪徳医師の時代があったりして、一つの魂が善悪転換することがあると示している。また、他のキャラが主役の時は端役になるというふうに、主従も目まぐるしく入れ替わる。人類の英知と愚行と、それらの反復と。ラストはシニカルな希望。

読了日:03月20日 監督:

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プラチナデータ

基本、『マイノリティ・リポート』の東野圭吾版かな(面白かったので原作も読む予定)。ただ、同作では、プリコグによる犯罪予知・事前逮捕まで行っていたが(それだけ国民の自由は危険に晒されている)、本作は、あくまでも科学捜査の延長(導入はね…)。作中の監視カメラの日付を見ると、2017年とあり、実際にも、今ある技術の応用・横断的組み合わせで実現できそうな筋書き。「DNA法案」が国会未提出なだけで。他、DNA絡みで決定論のような哲学的言説と、精神医療と、天才もマイノリティだという観点など複数の視点が盛られ興味深い。

読了日:03月18日 監督:大友啓史

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サイドカーに犬 [DVD]

GyaO!の無料配信で(8日まで)駆け込みで先日観た。ミムラ演じる女性による、幼少期のある夏の回顧が全編通して続く。竹内結子演ずるヨーコさんは経歴を一切情報として付与されない。太宰治の『ヴィヨンの妻』を読んでいたり、鋭い洞察をしたり、ミムラの幼少期を連れ回したりする。奔放だが馬鹿ではない、学生付近の年齢帯だが、なぜか中古車の修理販売工に惚れてしまって不倫している。でも、今現在におけるミムラの演ずる女性に、その片鱗も見いだせないのが残念だ。あくまでも、あのように奔放に生きたいという憧れのままでクローズ。

読了日:03月08日 監督:根岸吉太郎

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■フライト [DVD]

本日公開、近所の映画館の千円デーで観た。予想以上に良い話。名パイロットだがバッドダッド、ワーカホリックでアルコホリック。このポスターの問いは、人により評価が違うから二者択一形式なのだろう。でも、どっちもだという印象。うん。ケリー・ライリーの位置づけは微妙。デンゼル・ワシントンに自分と向き合う契機を与える重要な存在だが、契機を与えただけとも。綺麗だけど、自分がドラッグアビューズから逃れるのに必死で、示唆しか与えられない。公聴会(山場)後には、彼やその家庭とも融和してくようだが(推定)。山場では支えない…。

読了日:03月01日 監督:

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ダイ・ハード ラスト・デイ

出だし好調らしいから、皆で囃しながら観るべきだろう。本来は。ただ、ジョン・マクレーン刑事というキャラのファンとしては一言言わせてくれ。本作の脚本家は、マクレーンをわかってない(苦笑)。例えば1stのナカトミビルで社長と裏切り者の側近の二人が死んだ以外、民間人の犠牲者はない。でも、今回は彼が進んでカーチェイスでやたら破壊行為を行なってる(民間人を進んで犠牲にしてる)。彼はタフだが馬鹿じゃない。愛すべき警官のはずである。あと、放射性物質の扱いがすごくお粗末。3.11以後の日本では受け付けない人も居るだろう。

読了日:02月20日 監督:ジョン・ムーア

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■ザ・マジックアワー スタンダード・エディション [DVD]

周到に練られた、映画愛の産物とでも申しましょうか。市川崑監督の思い出に捧げられている、と表示される。が、おそらく、その手法等に対する敬意表明だけじゃなく、縁の下の力持ちであるスタッフがどれだけ苦労して映画を撮影しているかを知らしめる効果も生んでいる、魔法のような映画。元来の意味は台詞での解説もある通り、どうも夕暮れ時のある一瞬を指すようだが。それは鑑賞された人だけがわかる。でも、元来の意味を超えて、二重三重に楽しい魔法となっている。友情出演がやたら幅広く豪華なのも、映画を愛する趣旨に賛同したからだろうな。

読了日:02月16日 監督:三谷幸喜

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マイ・バック・ページ [DVD]

世代外で原作未読。映像で、後世の側から理解できるか微妙。いわゆる全共闘運動は「失敗」とだけ教わりがち。なので結論への過程重視。日米安保条約強行改定に東大生以下、属国が定着すること等を懸念(国家の搾取や暴力への抵抗等マルクス主義が混濁しながら同居)する学生らが過激化、各種運動。でも、1969年の安田講堂陥落(及び条約改定)で下火に。片桐は、陥落後に遅れてきた男。理論を空転させ、先人の虎の威を借る狐。沢田は、閉塞感からくる革命への期待ゆえ、記者として片桐のハリボテを見抜けなかった。人一人死んで、辛く苦い結末。

読了日:02月15日 監督:山下敦弘

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2091791

 

アンダーカヴァー [DVD]

ゴッドファーザー』のお抱え弁護士役だったロバート・デュヴァルが、主人公兄弟の父親役で出ているのだが、ニューヨーク浄化に成功したジュリアーニ市長みたいなハゲ方で良い味を出している。舞台はたしかブルックリンだけど…。それでも、着想がジュリアーニ一家を参考にしたのかもと思わせる。彼の家は代々警官や消防士だったが、犯罪者も出たのだそうだ。劇中の兄弟も善悪両サイドに割れているが、兄弟としての絆はかろうじて保たれている。そして絆故に潜入捜査に協力し、結果成し遂げるが、互いに大事なものを喪失する。と、僕には見えた。

読了日:02月15日 監督:ジェームズ・グレイ

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2090424

 

■ザ・ライト エクソシストの真実 [DVD]

The Lightではなく、The Rite。カタカナ語は含意を省いてしまう。辞書によると儀式という意味だそう。僕らが表題カタカナ語で想起する、神の恩寵とか後光という意味ではない。実在のマイケル神父とルーカス神父という人たちにインタビューして、実際の出来事にインスパイアされて構成されている、のだそうだ。信じるかはあなた次第(よくあるパターン)。ただ、無神論者の弟子が、百戦錬磨の師匠に悪魔が取り憑くという窮地に、信心を取り戻して戦うことを強いられるのを「通過儀礼」として真のエクソシストになる構図は良い。

読了日:02月12日 監督:ミカエル・ハフストローム

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ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ 〈セカンド・シーズン〉セット2 [DVD]

本日、最終11巻目鑑賞。ネタバレ?込み。ジョン・ヘンリーがスカイネットに対抗しうる存在になり未来に飛び、ジョン・コナーがそれを追い未来に合流すると、デレクやカイルと初めて遭うことになるようだ。しかしそのジョン・コナーは若過ぎないか。あと、サラ・コナーは残って何をしようとしたのだろうか。行間がありすぎて不可解な点が多い。タイムトラベルの円環は、なんとなく巧く繋がったような形にはなっているのだが。壮大な計画と仮定すると、キャメロンはジョン・ヘンリー完成と共に停止し、主を未来に送ることまで織込み済みだったのか。

読了日:02月10日 監督:

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2073737

 

■イエスマン “YES”は人生のパスワード 特別版 [DVD]

イエスマンというと、権力構造におもねる人というネガティブな意味を想起するが、ジャケットにもある問いかけの通り、相手からの要望に対して全部イエスで応じる人の意味で使われている。かなり面白い試み。『マルコビッチの穴』などに通ずる奇想天外さがある。物語後半に判明するが、風刺も利いていて、あらゆる思想・哲学のたぐいを歪めてしまうのは、普及過程における末端の解釈の誤りだったりするのかもしれない。ともあれ、最初は嫌々でも、そのうち心から肯定や感謝できるようになるというのは、日本における世俗の知恵にも似たものがあるね。

読了日:02月05日 監督:ペイトン・リード

http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2055444

 

■夜よ、こんにちは [DVD]

実際に1978年に起こった、「赤い旅団」による、キリスト教民主党党首のモロ(人名ね)誘拐事件を誘拐犯の心理描写によって内側から再構成している。マルコ・ベロッキオ監督自身が、教会や政権党といった、「従来からの権威」に抵抗する人々を映写する作風なのだそうだ。もちろん、なぜこのような犯行に至ったのかを理解するための媒介になろうとしているからであり、監督がこの犯行に共感するからという意味でないことは自明だが。主演のマヤ・サンサの美しさが、テロリスト内部において倫理的葛藤を司る役柄の女性の悲壮感を引き立てている。

読了日:02月05日 監督:マルコ・ベロッキオ

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コッポラの胡蝶の夢 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

『ベンジャミン・バトン』の変奏みたい。コッポラは原作本から自分が理解した東洋思想の魅力や怖さを、西洋の表現形式で伝えようと試行錯誤する。主に言語の起源を探求してる主人公の教授(ティム・ロス)は、あるきっかけで、70代まで研鑽した知性を保存したまま、壮年期にまで肉体が若返る。天啓(恵)のようでいて、不死の自分とは異なり輪廻転生する愛する女性とは決して幸せな合流が出来ない。荘子の『胡蝶の夢』の通りなら、生と死、夢と現の境は曖昧なので、あのラストは、むしろ自然な形で彼女と巡り会える「別の人生」を予測させるかも。

読了日:02月01日 監督:フランシス・F・コッポラ

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スター・トレック スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

近所のTSUTAYAで、このリメイク版を発見し、鑑賞のついでに79年のファーストも復習で借りた(そしてこれを鑑賞する前に観た)が、元ネタへの愛を随所に感じた(未来と交錯したりね)。過去のファーストは、既にベテランになったクルーの物語になっていたので、クルーが出会う青年期を描いた意義があるんだろうな。論理の鬼スポックと拮抗する熱血漢カーク、脇役も絶妙なサポートで魅せる。ワープや転送が未完成な技術として描かれていて、その不完全性がスリルを与える効果を生んでいる。あと悪役が『ハルク』のエリック・バナでびっくり。

読了日:01月31日 監督:J.J.エイブラムス

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スター・トレック [DVD]

金字塔だが、テレビ放映を断片的にしか眺めたことがなかった。スター・ウォーズシリーズは自発的に鑑賞してきたのに。デザインの好みの問題か。エンタープライズ号は外観が繊細で華奢過ぎる。艦内はのっぺりしすぎている。でも計器類はレトロフューチャーで適度に好きだ。持ち上げつつ下げるが、制服は無印良品を「改悪」したみたいな感じ。でも総じていうとやはり名作なのだろう。映画は何よりもプロットだし。観た後に、ダフト・パンクのVoyagerを聴いてしまったよ。旅人だものね。忠実にハイパーデータバンクになって戻ってきてほしいな。

読了日:01月31日 監督:ロバート・ワイズ

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カフカの「城」 [DVD]

まず、カフカの小説自体、未完だというのが手痛い。映画も忠実に中途閉幕。不完全燃焼、消化不良が嫌いなら、オススメできません…。権力の中枢の象徴としての「城」があり、そこに出入りし、職を得ることが名誉。ということが村に入った瞬間から外部者も拘束されるコードで、カフカのイニシャルとされる測量技師Kも、外部者からランクアップすべく村人を通じ何とかコネを得、「城」に取り入ろうとする。なのに、不条理なほど曖昧模糊、取り付く島もない。ディスコミュニケーションの連鎖。時間の流れが異常に速く、カフカ版の世にも奇妙な物語

読了日:01月30日 監督:ミヒャエル・ハネケ

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■コックリさん SPECIAL EDITION

深夜零時くらいから鑑賞してみた。しかし、降霊術あるいは交霊術の類を信じる人はともかく、すんごく怖いかというと、微妙ではある。同名の儀式、日本のバージョンにもいくつかあるのかもしれないが、ペンを用い、コインを使わない。物語的には、排他的な村落共同体への世代を超えた復讐、とでも要約できるが、最初の呼び出しにしか儀式は関係ない。儀式が似ているから、邦題もそれにあやかってみたという程度か。原理としては、狐の霊説じゃなく、死んだ子供の霊説に近いようだ。イ・セウンさんの映画と思ったら、実はキム・ギュリさんの映画。

読了日:01月29日 監督:アン・ビョンギ

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■プリンセス トヨトミ DVDスタンダード・エディション

原作ファンからは批判が多い?原作未読なので、映画での素朴な感想。憲法上の原理でいう中央集権と地方自治、国際政治上の宗主国と属国(そこから主権国家、独立国家とは何か)、みたいな二項対立を込めて、「大阪夏の陣で敗れた豊臣の子孫を拝する「大阪国」を明治日本政府が歴史の密約で許容してた」という壮大なミステリー仕立てにしていて、興味深い。その密約に、中立公正な独立性ある会計検査院は斬り込めるかと。あと、父性の復権、忠義と礼節。テーマが多すぎて拡散している?脳内BGMはQUEENで『Father to son』。

読了日:01月22日 監督:鈴木雅之

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■まほろ駅前多田便利軒 スタンダード・エディション [DVD]

独特の価値観とそれに基づく雰囲気のバツイチ男二人が、絶妙な間合いで便利屋稼業を回していく、カレンダーふう、1年間の物語。二人は似ているから行動を共にするのではなく、行動原理は水と油。だけど、まほろという街で、共に思春期の一時期を過ごしたことが愛郷心(?)のような紐帯になっているのか。劇中にも現れるが、片や人間味がありすぎ渇望があるのに喪失感や無力感に苛まれるから、片や何も無いようで全て持ってるが、根底で幼少期に形成された自己の空白を埋め合わせようとしてるから、なぜか同一軌道上で人助け。人生の不思議。

読了日:01月21日 監督:大森立嗣

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ブルーバレンタイン [DVD]

別に、バレンタインデーらしい予兆はなかったが、ラストもラストになって打ち上げ花火が上がるから、あれが祝日特有のムード?しかしそれ以外には、聖人の誕生日の欠片もない。ブルーカラーの青年が、ホワイトカラーの女子学生に一目惚れして、彼女もそれに応じる。のだけど、年を経るに従って、互いの溝は深まるばかりである…。不朽の愛とか、純愛って何だっけ。登場人物の、高学歴だが不埒な男たちより、ライアン・ゴズリング演ずるディーンの直球ぶりは、愛情の一貫性という意味で素晴らしい。そのはずなのに、なぜこうなる。価値観や言葉の壁。

読了日:01月20日 監督:デレク・シアンフランス

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アレクサンドリア [DVD]

レイチェル・ワイズ演ずる女性哲学者ヒュパティアは、歴史上名高いアレクサンドリアの図書館長の娘で天文学や物理学、数学にも造詣が深かった。アレクサンドリアの図書館がローマ帝国(の威を借りたクリスチャン)によって「焚書坑儒」(中国のみの教訓ではない)されたことで、人類の進歩は数百年遅れたというくらい当時の叡智が詰まっていたとされる。現在のクリスチャンが、「自分の宗教はどのように広まったか」について虚心坦懐に学ぶための映画、という気がするね。ヒュパティアの発見がケプラーに再発見されるまで1200年って。大罪だね。

読了日:01月15日 監督:アレハンドロ・アメナーバル

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サルトルボーヴォワール 哲学と愛 [DVD]

父方の田舎で正月に観た。感想を書いていなかったので今書く。はっきりいえば、ボーヴォワールメインで、サルトルが大変理不尽な男というふうにしか描かれていない(苦笑)。社会貢献する哲学者としてアンガージュマンする彼が、外で自由恋愛を貫くことは、ボーヴォワールのように男への隷属という構造問題から女性を開放する見地からは、二律背反的だったはずである。しかし、大学卒業までの濃密な共同研究期間が、サルトルだけを礼讃し崇拝する背景を形成してしまい(若い時の思い込み?)、別れ得ない。彼女の愛情の成就を大変困難だったろう。

読了日:01月03日 監督:

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鑑賞メーター

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